2020年9月に開業した、〈亀戸昭和橋通りなのはな歯科クリニック〉の院長・菊地信之です。この度、夫婦で開業することとなりました。開業前は、大学の歯学部研究科を修了後、15年間、大学病院で教職員そして歯科医師として勤務するとともに、学生教育、研修医の先生の教育・指導に加え、再生歯科治療の研究に携わってきました。私が行ってきた研究は、ナノテクノロジー応用による歯の感染された象牙質（虫歯）を再硬化させて、もとどおりの形態に再生させる研究です。実用化まではまだ道半ばですが、将来的にはこうした先進技術が抜歯症例を減らすことを目指しています。実は、当院の名称の「なのはな」の「なの」は、ナノテクノロジーの「ナノ」からきているのです。
さて、そんな私が、臨床の現場、つまり町場で歯科医院を開業することに踏み切ったのは、大学病院という限られた場での治療や研究以上に、日々、患者さまに近い立ち位置で接していくなかで、歯のケアや治療について、さらに「お口と身体の健康」について、私なりに理想とするところを広めていきたいと考えたからです。
歯が痛くなったときに行くのが歯科医院だったのは、ひと昔前までのこと。いまでは、治療とともに予防に力を入れるのが歯科治療の大事なポイントだということが広まってきています。私も、歯科疾病の予防を根本的な考え方としているほか、できるだけ歯を削らない、できれば歯は抜かない、といった治療を心がけています。そうした考え方を、患者さまとともにお口の健康を管理する臨床医として、歯を抜かない治療や予防の啓発を実践することでさらに浸透させていきたいと考えました。
歯を失ったり、お口に不具合があったりすると、「食生活」に悪影響を及ぼす可能性があります。うまく噛めないことによる栄養面も注視すべきですが、おいしいものを食べるという「食」の楽しみが軽減してしまうなどのデメリットも看過できません。しかも、それは全身の健康にも影響することが、最近の研究で明らかになっています。
いつでも、いつまでも、健やかなお口で、おいしいものをおいしく食べられること、ひいては健康寿命を伸ばすこと。これこそが患者さまにとっては、生涯の元気の秘訣であり、私たち歯科医にとっての使命でもあります。
近隣地域の患者さま一人ひとりの背景や健康についての価値観も考慮しながら、安心して通える「かかりつけ医」であるよう、そして長くおつきあいいただけるよう、誠意を込めて努めてまいります。お子さまからご高齢者まで、幅広い皆さまの、定期検診はもちろん、お口に関して気になることがあれば、小さなことでも、お気軽にご相談ください。

院長　菊地信之